「天気の子」が古のオタクに好かれそうな作品だった話
推敲すらしていない書き殴りなのでハナクソほじりながら読むのを推奨します。
若干のネタバレ有。
天気の子を見た。
かつて没頭した00年代のエロゲを彷彿とさせる要素が満載だった。
疑似家族、スターシステム、ダメな大人、そして代償。
どれもどこかで見たことのあるような要素ばかりだ。
別にこれが悪いと言っているわけではない。
むしろよくこの時代に骨の髄までしゃぶりつくされたような素材で料理しててスゲェなって。
まず疑似家族。
これで自分が重なったのは家族計画だ。
天気の子も家族計画も事情を持った男女がひょんなことから出会い物語が進んでいく。
他人だった人間同士が共同生活を経て情を育む。
まずここで古のオタク共は死ぬじゃん。
他人に飢えている連中がこんな要素に勝てるわけがない。
飢えてなかったらそんなゲームなんかしてないし。
少し残念だなと思ったのは個々のぶつかり合いがなかったかなと。
終盤におけるパイセンぐらいだったんじゃなかろうか。
あれは一方的にぶつけてただけだったけれども。
次にスターシステム。
これはメインを張れるかどうか怪しいけど個人的にめっちゃ好きな要素。
エロゲで言うとまるねこ三部作やAge作品だろうか。
君の名を見ていないのでアレなんだけれど、CMとかテレビでめっちゃ瀧くん見てたしこんな奴でも一発で分かるっていうのはすごいと思う。
三葉はエンドロールを見るまで気が付かなかった。
個人的に前作の主人公が出てくるのは非常に好みで出てこなくても、存在を匂わせる程度でも感動するオタクなのでちょろい人間だなと感じた。
ちょい役でも前作主人公が出てくることが嫌いなオタクがいるだろうか、いやいない。
ダメな大人に関してはもう言わずともわかる。須賀さんだ。
といっても完全なダメ人間というわけではなく、主人公の帆高くんから見てのダメな大人だ。
フェリーで命を救ってもらったからといって自分に食事を奢らせたり、警察に追われてるから手切れ金を渡してハイさよなら。
確かに彼から見たら信頼していた大人に裏切られたという感情だろう。ネプチューンキングとネプチューンマンのように。
特に手切れ金を渡すされる場面は非常に辛かったんじゃなかろうか。
ただこれはあくまで少年視点であって、ある程度社会に出て働いている自分から見ると須賀さんの行動もしょうがないのかなと。
作中で須賀さんは「大人になると物事の順序をつけれらなくなる」と語っていた。
確かに自分が須賀さんの立場だったら帆高くんを見捨てていたと思う。
むしろ手切れ金すら渡さないまである。
娘の引き取りを申請している最中に誘拐犯扱いされたら誰だって縁を切ろうとするわな。
ただそんな須賀さんも終盤の一件で優先順位を入れ替えることができた。
ダメな大人が頼れる(かどうかは怪しいが)大人になる、非常にエロゲライクな展開だ。
思うに陽菜ちゃんが消えて晴れた後に窓を開けて事務所に流れ込むシーン、あれが一つの分岐点だったんだと思う。
大人だったら机の書類が濡れるだの掃除が大変だのと言って開けないはずだ。
この時点で未来より現在を見始めていたんだろう。
そして最後に代償。
00年代のエロゲではこれが非常に多かった。
何かの代償に存在の消失。Key作品やフォロワー作品のSNOW、マギウステイルや10年代の作品になるが穢翼のユースティアといった作品もヒロインの消失との間で揺れ動く主人公が描かれていた。
それを見て育ってきた人間からするともうぶっ刺さって死ぬよね。
ホテルで晴れて欲しい?って尋ねられるシーン、選択肢が見えたもの。
帆高くんは結局世界を見捨てる形の選択をしたけれど間違いだとは思わない。
それを気にして引きずるのも少年から青年に成長していると感じられ良いと思った。
ラストに須賀さんが放った「世界は元々狂ってる、お前が気にするだけ無駄(意訳)」という言葉、全くもってその通りだと思う。
他の人たちはそんな事情を知らないわけだし当人たちが気にしてても世界は正常に動き続けているのだ。
いろいろと何を言いたいかわからなくなってるけれど非常にいいよねってこった。
結論としてトータルで非常に面白い作品だったと思う。
若者サイドから見ても大人サイドから見ても楽しめる作品だ。
特にかつてエロゲに没頭していたオタクたちにぶっ刺さると思う。
久しぶりに徹夜でゲームクリアをして朝日を眺める虚脱感というか心にポッカリ穴が開く感覚を味わえた。
別に戻りたくはないけれどあの頃の自分に戻れたというかなんというか不思議だ。
何が言いたいかというと天気の子いいよね…いい…。
ケチをつけるとしたら投げっぱなしになった雲の上の独自の生態系。
結局アレはなんだったんだ…次回の作品で回収されるのだろうか。
それを踏まえても天気の子いいよね…いい…。
余談だけれど白石晃士監督作品の「オカルト」、「ある優しき殺人者の記録」が非常にこの作品と似ている方向性だと思った。
どの作品も根底には愛がある(オカルトは親愛だが)のでやはり新海誠も映画暗黒神の眷属なのか…?
オカルトもパッケージで回収されてない(ハナっからするつもりがないのかもしれない)伏線…伏線?といえるのかわからないがそういう似たところがある。
オカルトとある優しき殺人者の記録を足して新海ワールドに落とし込むと天気の子になるのでオカルトも実質00年代エロゲだな?